日本工業新聞 掲載記事


日本工業新聞 掲載記事

Wrapup

2002年4月4日〜2002年8月10日迄 毎週木曜日 掲載

(全文内容ご希望の方はご連絡下さい)

 

4/4/2002
知的財産権◆1◆あらゆるモノマネから守れ・制度の範囲▲
創作と信用保護     審査の有無

「知的財産権」には機能、性能を高める技術的なアイデアに関する「特許権」や「実用新案
権」。 1つの商品でも、例えば、タイヤでは、タイヤのトレッドパターン(溝)の形状でいうと、水
を跳ね返す効果をみれば、特許権、実用新案権が、溝の形や溝の模様としてみれば、タイヤ
デザインの意匠権、タイヤの側面のメーカー名は商標権と、複数の知的財産によりカバーされて
いる。

プログラムの技術的な利用が特許権として、CDなどに複製することが著作権として、創
作者を保護している。
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4/11/2002
知的財産権◆2◆「モノづくり」が危ない 国家戦略で競争力強化 中小二次産業拡充を
  
NIESの脅威     日本発の「標準」を
・現状と課題
知的財産を国家戦略に

平成14年3月20日首相官邸において第1回の「知的財産戦略会議」が開催された。日本の
モノづくりが危ない
日本の民間企業はこれに独自に対応しなければならず、日本のモノづくりは転機を迎えること
となった。日用品のみならず産業機械等の分野でも技術援助、技術提携、合弁(合作)などさ
まざまな形でのアジア諸国との共存、共栄が試みられてきた。 部分的にしても製造・販売ノウ
ハウを得たパートナーである提携相手が分裂し、競業企業が生まれ、ついには強力なコンペ
ティターとしてパートナーだけでなく、親企業の日本企業と世界市場で競争するようになった。

日本企業は、1980年代アジア諸国や欧米で多額の費用をかけて製品の基礎的あるいは関
連技術についての特許、意匠を獲得し、維持していた。  今、この国では内閣主導のもと、先
の知的財産戦略会議をはじめ、政府・経済産業省、そして民間においても知的財産権による
日本経済の再生が検討され多くの指摘と提言が行われている。

「知」=「技術」そしてこれを保護活用する「知的財産戦略」を国家戦略とするもの
だ。

添付ブロック:知的財産戦略組織図  参考図 →   vol-2.doc
 

主な知的財産関係審議機関
(平成14年3月20日現在)

■知的財産戦略会議(仮称)
(議 長)小泉純一郎首相
官房長官、関係閣僚、経済界、学会、有識者:弁理士参加

■司法制度改革推進本部
(本部長)小泉純一郎首相
(11検討会)、労働検討会、司法アクセス検討会、仲裁検討会、行政訴訟検討会、裁判員制度・刑事検討会、公的
弁護制度検討会、法曹養成検討会、法曹制度検討会,ADR検討会)、国際化検討会

■総合科学技術会議
(議 長)小泉純一郎首相

●知的財産戦略専門調査会
専門委員
※有識者議員・経営幹部・研究者:弁理士参加

■知的財産権国家戦略フォーラム
(代表)荒井寿光元特許庁長官
弁理士参加
 

政党
■自由民主党
●司法制度調査会(保岡興治会長)
※5小委員会
●経済産業部会・知的財産政策小委員会(甘利明委員長)
■民主党
・知的財産権戦略プロジェクトチーム(簗瀬進座長)
■公明党
・知的財産制度議員懇話会(浜四津敏子会長)

■経済産業省
●産業構造審議会・知的財産政策部会(部会長 中山信弘東大大学院教授)
●産業競争力戦略会議(座長 吉川洋東大教授、経済界首脳)
●産業競争力と知的財産を考える研究会(委員長 阿部博之東北大学総長)(3つのWG):弁理士参加
「産業競争力強化のための知的財産の価値の戦略的最大化」に関する
WG1
「大学、ベンチャー・中小企業が利用しやすい知的財産制度」に関する
WG2:小倉参加
「海外における競争力確保」に関するWG3:弁理士参加)

■特許庁・(財)知的財産研究所
●特許と経済に関する調査研究委員会(委員長 後藤晃一橋大学イノベーション研究センター教授):小倉参加

■文部科学省
文化審議会著作権部会、研究開発成果の取り扱いに関する研究会
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4/18/2002
知的財産権◆3◆報酬計算の指針作り急げ 経営と発明のバランス保持を
・職務発明▲   開発と利益分配    管理費高騰も
職務発明−その1

それまでは、明治42年法により職務上又は契約上なした発明は、原則としてその企業
に帰属するとしていた法律を改正したものである。

豊田左吉氏の自動織機の発明のように、個人の発明家による時代から、発明が企業(内工
場、研究所)で生まれるようになったことを受け、技術者、研究者の発明へのインセンティブを
高めそれによって利益を上げる企業との調整を図ろうとするものだ。

主な点は、「職務発明の『相当の対価』の額は企業が一方的に決めてはならない。」発
明者の保護と経営の安定

近時、知的財産権が企業戦略のみでなく、国家戦略として重視され、雇用環境の変化とも重な
り職務発明の特許から得たロイヤルティや利益(売上)に応じた発明者への報奨金を制度化
する企業が増加し、医薬品業界で上限5〜6千万との情報もある。

日本でもアメリカ同様、法律上は、発明についての権利は原始的に発明者に帰属するが、職
務発明の権利は会社に自動的に承継される事例が殆どである。職務発明に係る特許権等の
承継等の相当の対価の額については、一般に、米国では賃金の問題と同様に考えられてい
る。
参考図 →   vol3.doc
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4/25/2002
知的財産権◆4◆労使で「ボタン」掛け直せ
・職務発明▲
青天井の条件     いつ誰がどう護る

報償額をめぐる係争については、ドイツでも発明者と企業間のみならず発明者のチーム
間でも係争が耐えないという報告がある。イギリスでは、社員の職務に関する発明は会
社に自動的に移転する。発明者の対価請求権は、発明完成時所属する会社に限定される
か。すなわち、特許された職務発明が譲渡され、譲渡を受けた会社で利益を生じたと
き、譲渡を受けた会社は、元の発明者に報償金支払い請求を受けるか。企業は、職務発
明を用いた企業活動で利益発生に貢献するが、発明活動そのものは、発明者個人の知能
的作業であり発明自体に貢献できないとする考え方にどう答えるか。発明が利益を生む
ように企業化あるいは商業化されるには、企業の営業部、知的財産部等他の部門、研究
開発部門における他の技術者による、市場開発、技術的問題を含めた活動、協力が必須
であり、発明者の企業利益に対する貢献度もこれらの企業努力と相殺されることは当然
である。使用者等は、あらかじめ、従業者等との契約、勤務規則その他の定めにより、
職務発明について使用者等に特許を受ける権利もしくは特許権を承継させ、又は使用者
等のため専用実施権を設定すること、およびその場合の条件等を定めることができる。
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05/02/2002
知的財産権◆5◆連携がない裁判所と特許庁
・84億円賠償判決と無効判断▲
ちぐはぐな結論    権利範囲も変更

ところが、その前日特許庁からこのパチスロ特許に無効理由があるとの通知が出されたとい
う。何故、裁判所と特許庁でちぐはぐな結論となるのだろうか。特許庁が行う無効審判という手
続で技術的・専門的な判断のもとに、特許を無効とする審決が確定しなければ特許は有効とし
て扱われると言うこと。 この最高裁判決以降、侵害訴訟において特許が無効だという裁判上
の主張と無効審判の両方を請求する者が増えたと推定される。図の訂正審判というのは、同
様に特許権の範囲を減縮するなどの訂正が認められる制度で、訂正請求が認められる代わ
りに、無効審判が特許庁に出ている間は、この訂正審判の請求はできない。
参考図 →  vol5.doc

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5/9/2002
知的財産権◆6◆競争力強化へ資格制度改革図れ
ルール順守期待【WTO】【GATS】
相互承認を議論【外国弁護士】

国際的な自由化~WTO
2001年12月中国が、今年1月台湾が、「世界貿易機関(WTO)」に加盟した。 WTO
(World Trade Organization)とは、遠く1948年に暫定組織として発足した「関税及び貿易に
関する一般協定(GATT)」のウルグアイ・ラウンド(1986年〜94年)の交渉の結果、1995年
設立された国際機関で、各種協定を作成し自由貿易を推進するルールの強化を図るものだ。
欧州連合(EU)や北米自由貿易協定(NAFTA)FTAだ。
GATSWTOの交渉の結果、上記以外にサービスの貿易に関する一般協定(GATS)、知的所
有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS)などの数種の協定を一括受諾の対象とし各
加盟国間での規制の明確化を図ろうとしている。

外国弁護士 
法律サービスに関して、日本ではいわゆる「外弁法」(外国弁護士による法律事務の取り扱い
に関する特別措置法)により、1987年以来、例えば、ニューヨーク州弁護士が日本で新たに
資格試験を課されずにニューヨーク州法に関する法律サービスを国内で取り扱うことができる
という「外国法事務弁護士」(以下、「外弁」という)の制度がある。主な知的財産専門サービス
提供者(平成12−13現在)
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5/16/2002
知的財産権◆7◆合意事項を相互に確認・交換
・契約―戦略的活用▲
共通認識を宣言

知的財産権の戦略的活用
あるいは「当社と共同で開発し、行く行くは貴社で製造してほしい。」 知的財産関連の契約に
は、業務進行の段階を問わず問題となる守秘義務(秘密保持)契約、試作発注時の知的財産
権の取り扱いを定める契約、共同研究(研究開発委託)契約、特許等や商標の実施あるいは
使用の許諾契約(ライセンス)及び生産提携など無数の類型があり得るが、紛争の解決を前
提とする契約と異なり、それらの契約の内容は非常に広範囲なものとなってしまう。D貴社か
ら得た技術、知識を外部に漏らさないこと。 6.貴社の請求があったときもしくは、情報の使
用後は、受領した全ての情報(貴社の承認に基づき改編した情報を含む)及びこれらの情報
にもとづき作成した全ての資料その他の有形物としての情報を直ちに返還すること。』   以
上が、守秘義務契約に関する大体の内容だ。
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5/23/2002
知的財産権◆8◆「自己実施」の要件満たすか
・共同開発と製造委託に潜む侵害問題囲
共有特許権下で判例の見解


共同開発と製造委託に潜む侵害問題
A社は確かに特許権者だが、その特許は、通告人B社との共有であった。 
共有特許の態様 民法と異なり、特許の共有者の自由は制限されている。共同開発に
より共同で特許を保有したり、特許後に都合で一部譲渡により共有となることもある。
共有特許の権利者A社から製造の発注を受けたC社の立場が問題となるが、共有特許権
の権利関係を考えてみよう。

どこまで実施できる? 共有者は全部実施できるが、契約等で定めない限り、他方の同
意無しに第三者に対して実施許諾(ライセンス)ができない(特許法73条)。予め契約で
単独での実施許諾ができるよう定めておくべきだ。 ところで、C社製品は、特許(共有特
許)の技術的(権利)範囲にあり、共有者のA社はC社に製造を委託するのについてB社の同
意は得ていない。B社の同意がないので、後は、C社による製品製造とC社からA社への製品
販売(実施)がA社自らの実施(自己実施)と見られなければ侵害となる。 共有者の計算にお
いて、その支配管理下でC社が実施する限り、A社の自己実施と同視すべきだというもの。
参考図 → VOL8F.doc
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5/30/2002
知的財産権◆9◆簡易な改良などに活用の道
・実用新案は何処へ行った“!▲減少傾向続く
       中小活性に寄与

「登録実用新案?多くは疑問符で認識される実用新案。実用新案制度は、一九九四年
(平成六年)一月、実用新案法の改正が、特許法の改正(補正、審判、審査基準)と同
時に施行された。

実用新案は使えない?

改正前の実用新案は、存続期間も出願から一五年(登録から一〇年、特許は出願から二〇
年)、特許と同じく審査を経て登録されていた。技術評価書はあるか。

したがって、このようないわば無効な実用新案権による権利行使により不測の損害を被る者
が無いように、実用新案権者が他社の無許諾の実施者に対する警告状を送るなど権利行使
のときに限り、技術評価書を提示する義務を権利者に課している(実用新案法第二九条の
二)。学校の成績表のように6段階で請求項(実用新案登録請求の範囲に記載の考案の項
目)ごとにポイントが付けられる。平成一二年の実用新案登録件数は、約九千件、技術評価書
の請求は、約千八百件である。

統計が示す数字を見ると、改正前の平成五年約三六万件の特許出願は、平成一二年約四三
万件となり、同時期の実用新案出願件数の減少に対応しているようだ。(特許庁編集:特許行
政年次報告書 二〇〇一年版
参考図 → vol9.xls
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6/10/2002
知的財産権◆10◆類似を規制しモノマネから保護

営業信用の表示−商標▲
「音」など検討    継続使用が必要

 図にあるように、商標は、文字、図形、記号などの平面で表されたものだけでなく、コーラの
瓶の外形状などの立体商標も含むが、現在商標に含まれない視認できない音、色単体、匂い
などについて商標としての保護の拡大が検討されている。

「商品の産地、販売地」というためには、必ずしも、その土地が当該商品の産地、販売
地として広く知られていることや、その唯一の産地、販売地であることを要するもので
なく、他の場所でも生産・販売されるものも含まれる(商標法第3条1項)。

商標は、不正な競争から商標使用者の業務上の信用を保護するものだから、特定商標を使
用する商品・サービスを指定して登録を得る。登録された商標と類似する商標と、指定した商
品・サービスに類似するものへの他者の使用を規制できる。図の不正競争防止法は、周知著
名な商標等営業表示について、登録がなくてもモノマネから保護しようと言うものだ。昔使った
商標といえども、直近3年間が問題となる。
参考図 → vol10.doc
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6/13/2002
知的財産権◆11◆グローバル化時代の制度活用探れ
日米相互承認へ   審査一元化も
産業競争力強化―国際統一特許への途日米審査の相互承認

 相互承認といっても、現状では日本特許をそのまま米国特許として成立を認めるとい
うわけではなく、日米両国における審査結果を相互に利用するための検討に入るもの。
 一九九八年の日本から米国への出願件数は約五万件、米国から日本への出願は約三万
五千件であった。米国特許第5616089号は、『パター方法』の特許でゴルフのパ
ターにおけるアドレスとグリップの仕方を内容とするもの。米国特許第6368227
号は、ブランコをいろいろな方向へ揺らすことを内容とするものだ。

米国の特許手続 米国は、日本にはないさまざまな独自の制度を持つ。審査請求はな
く、自動的に審査される。拒絶され特許にならないものは公開されず、『サブマリン特
許』の一因ともなり、日本企業も影響をうけたが、二〇〇〇年一一月末以降の出願につ
いて出願から一八か月で出願の内容が公開されることになった。但し、米国独自の防衛
技術等の秘密特許や出願人が非公開を望むときは公開されない。 

日本の競争力 特許協力条約等における手続要件の問題のみならず、この条約を拡大し
て現在ヨーロッパ特許条約で行われている特許要件の実体審査の一元化による各指定国
での特許付与の制度も検討の対象となるだろう。  
参考図 → vol10.doc
発明ノートブック
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06/20/2002
知的財産権◆12◆
自由競争のルール 商品形状のモノマネ防止

商品表示としての商品形態 アイデアのひらめきで新しい商品が生まれる。商品は外形
をもっているから、ヒット商品となる特徴が外形にあることも多い。開発の結果生まれた新商品
の販売が決定すると、新しい商標が付けられるだろう。
開発から販売開始 ところが、生み出されたすべての新商品が直ちに知的財産権による
手厚い保護を受けられるとは限らない。
模倣品の排除―商品形態保護 
新商品形態保護は、最初に販売された日から起算して三年間は、他人の新商品の形態
を模倣した商品の販売、レンタル、展示、輸出入を禁止するもので、意匠登録のように
登録はいらない(図:不正競争防止法2条1項3号)。 販売は、外国での販売、OEM、サン
プル出荷を含むとされる。先行する販売、宣伝やメディアの紹介により他人の新商品を参考に
して完成した結果的に外形の同じ商品を指す。
ありふれた形態  先行者の商品形態開発利益を保護する制度が商品形態保護なので、
同種の商品に共通するありふれた形態は、保護に値しないことになる。
商品形態保護では、最初の販売開始が外国なら、その時から3年間となる。
参考図 → Vol12FigVer3.doc
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06/27/2002
知的財産権◆13◆
経済スパイ・バイオスパイ・情報流出・研究情報の不正流出・
営業秘密・バイオ戦争・
米で再び日本人研究員逮捕
研究資料ごと研究者を引き抜いたとか、日本が重点研究分野とするバイオに関する戦略的基
礎研究に対する米国の強烈な牽制だといわれた。
米国経済スパイ法(第90章Economic Espionage Act)
米国内外企業や個人及び外国政府が、米国企業、研究機関等が保有する営業秘密を不正に
入手・利用する行為を犯罪行為として処罰する。米国企業が国外において行う不正行為につ
いても、適用される。その他のトレードシークレットの窃盗は、10年以下の拘禁刑50万ドル以
下の罰金、法人等は五百万ドル以下の罰金(1832条)。

日本における営業秘密の保護
 理化学研究所法には罰則が定められているが(【註2】)、現在、刑法の窃盗罪等で
対応する他は、現行不正競争防止法には、米経済スパイ法のような営業秘密に関する刑
罰規定はない。【註1】・不正競争防止法第2条第4項 この法律において「営業秘密」とは、
秘密として管      理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上
又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいう。
参考図 → Vol13Fig.doc
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7/04/2002
知的財産権◆14◆

ヒット商標・ウオークマン・登録商標の慣用商標化/普通名称化・正宗はセイシュだった・紙一
重の著名と非独占・

この特定の会社の製品であることを認識させる商標としての機能を商標の「識別力」とか「出
所表示機能」という。輸入・卸元や販売店間では商標権侵害ということだ。連載第10回で取り
上げた氏姓、地名などの商標における識別力の無いことが不登録あるいは登録の無効原因
となるという問題だが、ここでは、登録時点では識別力があったが、登録後に広く不特定人に
使用されることによって登録商標が慣用商標化あるいは普通名称化してしまうという問題だ。

 慣用商標、普通名称とは何か?
商標使用の段階と需要者の認識

とくに著名な商標について同業者の使用を黙認し、差し止め等権利行使をしないでいると、
徐々に多数の同業者に使用され,普通名称化してしまう。 登録商標が普通名称化してしまう
と、第三者はその商標と同一の商標を普通に表示して使用することができる(商標法第26
条)。

 これ以外にも、辞書や新聞、雑誌、論文、ネットビジネスにおける商標使用の放置が普通名
称化の要因となる。各国の登録商標表示の付記や「ウォークマンはソニーの登録商標」などの
目立つ記載が必要となる。
参考図 → vol14Figver2.doc
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7/11/2002
知的財産権◆15◆

 知的財産戦略大綱/知財立国の実現へ/二〇〇五年迄に制度改革/政府二〇〇五
年迄に大綱実現・

7月3日政府の知的財産戦略会議(議長:小泉純一郎首相)が、「知的財産戦略大綱」を決定
した。技術やブランド、音楽など広い意味での『情報』を特許権、著作権などの知的財産権とし
て@創造することを推進し、Aその保護の強化を図り、B活用を促進する。3.活用戦略とし
て(1)国公私立大学に特許事務所ともいうべきリエゾンオフィスとしての「知的財産本部」を設
け、大学・公的研究機関等における知的財産を取り巻く環境の整備による知財の取得・活用
の推進(2)不動産の証券化のような特許の開放、流通を進めるための知的財産の評価手法
の確立があげられている。

 大綱は、知的財産権の中の特許、実用新案、意匠、商標を意味する『工業所有権』という語
を農業、商業を広く含む『産業財産権』に改め、又、『知的所有権』の語も『知的財産権』に統
一するものとした。 さらに、大綱は、『知的財産立国の形成に関する施策の迅速かつ重点的
な推進を図るため、遅くとも2003年の通常国会までに、知的財産の創造、保護、活用が活発
に行われることを国家目標とし、「知的財産基本法(仮称)」について、必要な検討を行った上
で提出することとする。』基本法成立後には、首相を本部長とする「知的財産戦略本部」を設
け、「知的財産戦略計画」(仮称)が策定される予定だ。
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07/18/02
ここがポイント 知的財産権◆16◆

ドメイン名はパソコンを使って通信するための個々のコンピュータを示す、住所を特定するもの。
http://www.jij.co.jpなどと表示されるが、「http」は、共通語の一つのhtmlという形式の文書
や画像を集荷配達する宅配便屋さんのようなもの、「www」は「jij.co.jp」という「wwwサーバー」
を表し、ここにhtml文書が保管され、この文書を宅配さんの「http」がInternet Explorer
(MicroSoft)などのwwwブラウザに届けて見られるようにする。「jij」は右から数えて第三レ
ベルドメインといわれ、企業、団体、個人名。ここで、ドメイン名はJPNICなど登録機関を通じて先
着順で登録され、商標のような審査は行われない。これまで裁判所はドメイン名を商品表示等と
して保護する(平13. 最近では、「三共.com」という日本語ドメインの初の紛争が世界知的所有権
機構(WIPO)により、移転請求を認める裁定が出た(D2000-1791)。
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07/25/02
ここがポイント 知的財産権◆17

今ではWPC処理(商標)として、工具、自動車部品、ゴルフクラブなどの多様な分野での金属
表面処理に採用されている。

この金属成品の表面処理方法について特許を得たのは平成二年のことだ。 さらには、基本
特許に関連する表面処理技術のさらなる企業化の道を探るため、平成8年ごろからライセンシ
ーの連絡会を設けて、技術及び市場の情報交換を行ってきたが、準備期間を経て、平成10
年には前述学者らの参加を得て、微粒子衝突表面改質研究会を立ち上げた。愛知県工業技
術センターを始め江戸川区総合区民ホール、大阪府立産業技術総合研究所及び会員企業に
おいて、研究会を開催し、常時200〜300名の金属技術関係者が学者及び企業の研究発表
や技術講演を熱心に聴講し議論する機会を得ている。
参考図 → vol17fig.doc
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08/01/02
知的財産権◆18◆

 これまでは、すでに制定された中小企業創造活動推進法、新事業創出促進法、中小企業経
営革新支援法により、中央省庁、地方自治体がこれらの法律に基づき中小企業の支援活動
を行っている。日本弁理士会知的財産支援センターの調査(平成12年度)では、経済産業省
(中小企業庁)、文部科学省(旧文部省・科学技術庁、工業技術院)を始め4省庁、地方公共
団体独自の補助制度を含む47都道府県、川崎市など5政令指定都市、台東区を始め都内1
1区において、又、経済産業省等を主務官庁とする35財団において、支援事業を行っている。
図:各経済産業局リスト
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08/08/02
知的財産権◆19◆

コピー品、模造品、偽造、税関、水際阻止、共存への道
 模倣品対策が言われて久しい。先月四日特許庁が二〇〇一年模倣品被害調査報告書を発
表した。これらの模倣品の中韓台三か国での流通比は4割程度だから、残る約3割の模倣品
が北米、ヨーロッパを始め世界に流通していることになり、日本企業の輸出被害を示してい
る。

これらの模倣品が日本国内においても製造・輸入・販売されている。
輸入差止
平成一三年度の「知的財産権侵害疑義物品」の輸入差し止め実績は、職権による差止を含め
約二千八百件、前年比一.二%、中国七.知的財産権の権利別では、点数では、著作権が約
六八%、件数では、商標権約九七%となっている。今、模倣は、中国優良企業の製品もターゲ
ットにされているという。

 日本企業の対応については、二〇〇一年の一〇か月間に一〇件以上摘発(レイド)した中
国進出日本企業は一〇%、四件迄が三三%、〇件は四三%という(前掲アンケート)。

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08/10/02
知的財産権◆20◆

デジタル著作権 インターネット著作権、ファイル交換  ア
ップ・ダウンロードに注意 競争力強化へ著作権の充実を

公衆送信(可能化)権
「ファイル交換ソフト」を使い著作権者に無断でビジネスソフトなどを不特定多数のインターネッ
トユーザーに送信し得る状態に置いたとして、今年3月京都区検が略式起訴。 平成9年改正
著作権法第23条1項で規定された「公衆送信(可能化)権」によるもの。サーバーとユーザとの
間でアクセスがあれば自動的に送信する(インタラクティブ送信)「送信可能化」を含むので、未
だ誰もアクセスしなくともユーザが自分のサーバーにアップロードすること自体で侵害となる。
 侵害者の探知
だから、交換ソフトの使用で送信可能化することも明確に違法ということになる。
 来年四月に向け著作権情報と使用許諾申込を含むシステムの実施化が進められているとい
う(デジタル時代の著作権協議会:著作権権利情報集中システム)。
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